“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『パリの秘密』

『パリの秘密』 鹿島茂 著 中公文庫

パリの秘密 (中公文庫)

 フランスの首都パリ。いまだに使われている言葉なのかよく分からないが、花の都パリ。そんなパリの有名な観光スポットから知る人ぞ知る的な穴場までを、フランス文学研究者の鹿島氏が綴ったエッセイ。

 

 エッフェル塔が万博のために造られたというのは知っていたが、その1889年第4回パリ万博のシンボル建築のコンペにおいて当初有力だったのは、その名も「太陽の塔」だったという。

 岡本太郎の、ではない。

 ブールデという設計者の「太陽の塔」。調べてみたら、模型がオルセー美術館に残っているらしい。

 岡本太郎大阪万博のために造ったあれに「太陽の塔」と名付けたのは、たまたまだったのか? それともブールデを知っていたからだろうか? その答えは載っていなかった。

 万博といえば、この本は2003年から3年間東京新聞に隔週で連載された記事を纏めたもので、その期間内の2005年に開催されていた愛知万博にも触れた文があったりするのが、なんだか可笑しかった。

 

 パリは、19世紀後半にオスマンの大改造と呼ばれる近代化で大きく変わっている。


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 しかし、1870年にオスマンが失脚したために、壊されず残った場所もあるようだ。中には800年前の城壁さえもある。

 地震がほとんど起きない(実はフランスでは年600回程度は起きている。そのうち有感地震は10回程度)こと、石造りの建物が多いこと、さらにフランス人の“無関心”のために、パリには古い建築物が残りやすい。

 古い建築物が残るパリには、ゲニウス・ロキ(地霊)が生き続ける。あちらこちらに巣食うゲニウス・ロキが秘密を生む。

 それが、パリを不思議な魅力ある街にしているようだ。

 以前にYouTube動画で見た「壁抜け男」も取り上げられていたのが、ちょっと嬉しかった。


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※7:23~8:24に「壁抜け男」が出てきます。