“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『ムーミンのふたつの顔』

ムーミンのふたつの顔』 冨原眞弓 著 ちくま文庫

ムーミンのふたつの顔 (ちくま文庫)

 本作は、筑摩書房の『ムーミン・コミックス』の翻訳を担当した冨原氏によるトーベ・ヤンソンの評伝的作品。

 実は、コミック版のムーミンは、まだ読んだことがない。

 海外では、ムーミンというとコミックス版が有名だという。イギリスの新聞連載漫画として始まり、スウェーデンデンマーク、母国フィンランドノルウェー、オランダ、ドイツ、イタリア、アイルランドユーゴスラヴィア南アフリカギニア、トルコ、ウガンダ、インドといった国々で連載され、最盛期には、約40か国の120紙に掲載されていたという。

 どちらかというと、イギリス・ロンドンで人気になってから、遅れて母国フィンランドでも知られるようになったというのは、トーベ・ヤンソンスウェーデン語を母語とする少数派であったということが関係しているようだ。コミックスも児童文学作品も小説もエッセイ作品も全てスウェーデン語で書いている。そして弟のラルス・ヤンソンが台詞を英訳し、後にコミックス版はラルスが引き継ぐことになった。

 自分が知っているアニメ作品としてのムーミンや児童文学作品としてのムーミンとは、また違ったムーミンがあって、さらにムーミン以外の作品について、トーベ・ヤンソンと家族、特にトーベの母ハムの影響の大きさがよく分かる内容だった。