“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『図説 イギリスの手づくりの生活誌』

特別お題「今だから話せること

 “積読”の整理を始めて、今更ながら、「イギリス関係本」の多さを実感している。

 いろいろ都合が合わず、残念ながらイギリスに行ったことはないのだが、イギリス関連の本を読むのは好きで、一時は意識的に本を集めていた。

 それこそ、今だから話せることだが、一時は、本棚2つ分はあった。

 集めて、結局“積読”にした本も多いわけで、集めて本棚に並べることが目的になっていたのかもしれない。それらのうちの1冊について取り上げてみる。

 

『図説 イギリスの手づくりの生活誌 伝統ある道具と暮らし』 ジョン・セイモア 著 東洋書林

図説 イギリス手づくりの生活誌―伝統ある道具と暮らし

 著者のジョン・セイモアは英国の作家で、自給自足運動の先駆者。 1914年生まれで2004年に亡くなっている。イギリスとスイスで教育を受け、農業大学で学び、イギリスの農場で働いた後にアフリカに渡って10年ほど過ごし、第二次世界大戦後に各地を旅行し、イギリスのサフォークを拠点として自給自足の学校を作った、となっている。

 その関係で、本文中に、スイスやアフリカの話が唐突に登場したりしているが、基本的には、古いイギリスの生活で使われていた道具類のイラストと解説である。

 原題は『忘れられた家事の技術』。ナショナル・トラストと連携しているらしく、イラストに使われた道具の実物は、ほとんどがイギリスのナショナル・トラストが所有しているという。

 実際に使われていた頃の写真も載せられているのだが、人々の服装から、下手をするとヴィクトリア時代のものもありそうだ。

 著者の経験をまじえた、“古き良き時代”のイギリスの生活を懐かしんで、道具について書き連ねたという感じの本で、「あとがき」として監訳者も書いているが、かならずしも学問的に正確とは言えないようだ。

 イラストだけを見ても楽しい本ではある。