『タルト・タタンの夢』
今週のお題、「全力投打したいっ🥎」らしいのだが、家に野球に関する本は無かった。世間ではWBCが話題になっていたようだが、結局1回も見ずに終わったし、興味の無いことは書きようがない。
で、お題スロットを回してみた。
好きなシリーズということで“積読”ではないのだが、最初に読んでから時間も経っているので、久しぶりに読みなおして書いてみようと思う。
『タルト・タタンの夢』 近藤史恵 著 創元推理文庫
この本を買った理由は、はっきりしている。タイトルの“タルト・タタン”に惹かれたのだ。このリンゴのタルト、自分の好物なのである。
商店街の小さなフレンチレストランである、〈ビストロ・パ・マル〉。
“悪くない”ビストロ、という意味らしい。
このシリーズものは、その〈パ・マル〉を舞台に、主人公のギャルソン“ぼく”こと高築智行をストーリーテラーとしたミステリ。
メインの登場人物は〈パ・マル〉のスタッフで、高築くんの他は、料理長の三舟忍、副料理長の志村洋二、ソムリエの金子ゆき。
フレンチレストランが舞台なので、かならず美味しそうな料理が登場する。そして持ち込まれる事件の解決自体も、三舟による料理によって導かれる。
ミステリではあるが、人が死なないタイプなので安心でもある。
残念ながら、実生活では高級なフランス料理とは縁がないので、フランス料理特有の用語に馴染みもないし、登場する料理の名も、タルト・タタン以外は食べたことがないものの連続だったりする。
しかし、描写はとても美味しそうで、お腹がすいてしまう。
料理の美味しそうな小説は、読んでいても楽しいし満たされる。
実際の味は想像してみるしかないものも多いのだが。
ところで、この『タルト・タタンの夢』には7つの作品が収録されているのだが、うち1つは高校野球の話が絡んでいる。野球部の不祥事の謎である。
あ、野球ネタの本でもあったのか! と、読みなおして気が付いたのだった。