“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『場所はいつも旅先だった』

『場所はいつも旅先だった』 松浦弥太郎 著 集英社文庫

場所はいつも旅先だった (集英社文庫)

 何で、これを買ったのか? まったく覚えていない。

 松浦氏のことを知っていたわけではなく、カバーのビジュアルに惹かれたとも思えない。

 松浦氏は、元『暮らしの手帖』編集長だったらしいので、その関係かもしれぬ。朝ドラで取り上げられたため、『暮らしの手帖』が話題になったことがあった。

 『暮らしの手帖』は名前しか知らない。まだ、発行されているのかもしれないが、実際に手に取ったことはない。自分の中では、古い、昭和的な、良妻賢母的イメージの雑誌である。しかし、松浦氏は、そういう雑誌のイメージとは、かなり、かけ離れた人物のようだ。

 この本は、若かりし頃、訪れた海外でのできごとを中心にしたエッセイだ。18歳で渡米して以降、時々、帰国しつつ、古本を中心としたバイヤーのようなことをしていたようで、おそらく、もともと経済的には余裕がある家庭の出なのだろう。当時の一般的な日本人の進路からは外れた内容に思えるが、文章からは、まったく困窮感は感じられない。変な喩えではあるが、鈴木英人のイラストが浮かんでくるような内容なのだ。

 カバーの折り込み部分の著者の解説欄によると、トラックによる移動書店で注目されたらしいが、好きな事、興味のある事を仕事にする自由さを持っていて、それが許される環境(経済的にも、家族を始めとする、人間関係的にも。)が揃っていた幸運な人なのだと思われる。

 羨ましい。が、自分には無理だろうな、とも思う。