“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『チェコスロヴァキアめぐり』

カレル・チャペック旅行記コレクション チェコスロヴァキアめぐり』 カレル・チャペック 著 飯島周 編訳 ちくま文庫

チェコスロヴァキアめぐり―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)

 以前に取り上げた『イギリスだより』と同じシリーズとして文庫版が出されているが、あちらは1回のイギリス旅行で廻った場所について母国の新聞に連載したものが主体であるのに対し、こちらはチェコスロヴァキア国内を旅行しながら連載したものではなく、発表時期もまちまちなエッセイの寄せ集め。これは、旅行記ではないと思う。

 

 自国の読者に向けて書かれた自国内の話題であるため、同時代のチェコスロヴァキア国内では当たり前であったろうことはわざわざ言及していない可能性もあり、また、やはりプラハ以外の地名に馴染みがないこと、チェコの歴史や文化に関する知識がほとんどないこともあって、ピンとこない感じ、分かりにくい感じが否めなかった。

 

 チャペックの生まれ故郷がチェコの方であることと、1918年、第一次世界大戦後にチェコとスロヴァキアが統一されてチェコスロヴァキア共和国(1993年1月1日にチェコ共和国スロヴァキア共和国に分離している)になったという経緯があることから、チャペック自身もスロヴァキアの方にはあまり馴染みがなかった可能性もある。

 実際、スロヴァキアに関して書かれた文は少ない。

 

 社会批判的なエッセイも含まれていて割と硬い感じがするが、その分、著者自身と兄のヨゼフ・チャペックの可愛らしいイラストが和みになっている。