“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『ミラノの太陽、シチリアの月』

今週のお題「行きたい国・行った国」

 今週のお題が発表された。遅ればせながら、日本でも新型コロナウイルスとの共存というか向き合い方が変わってきて、そうなると、海外旅行も現実的な話として考えられるようになってくるのだろう。

 極端な円安がツライところだが。

 

 行きたい国はいろいろあるが、長めの休暇が取れたなら、イタリアかイギリスがいいと思う。

 自分は、イタリアを書いた須賀敦子のエッセイに惹かれている。

 須賀敦子が好きなら、と知り合いに薦められたのが、内田洋子である。

 

『ミラノの太陽、シチリアの月』 内田洋子 著 小学館文庫

ミラノの太陽、シチリアの月 (小学館文庫)

 読んでみて、薦められた理由が分かった気がした。

 神戸市生まれで、イタリアに渡り、エッセイを主とした作品を発表し続けている。須賀敦子と内田洋子は似た要素があるのは確かだ。

 年代の違いはあるものの、感情を抑えた文体で、イタリアで出会い交流した友人たちを共感を持って描写している。2人とも人が好きで、悪意ある無責任なうわさ話には加わりはしないだろうが、おしゃべり自体は好きなのだろうなと感じる。

 内田氏の方が宗教的な色が薄いのと、ボヘミアン的な部分を持っているとは思うが。並外れた行動力があるのか、異国であるイタリアで引っ越しを繰り返す。しかし、ずっとイタリア。友人も多いようだし、引っ越しても人との繋がりは続いている。そして、必ずしも便利ではない、というよりも、かなり不便な物件にも触手を伸ばしている。

 人も、家も、街も。イタリアとの幸運な出会いが感じられる文を読むと、羨ましくなる。

 自分には、そこまでの行動力はないし、ある種の楽観主義には浸りきれない。

 だからこそ、幸運な出会いのお裾分けを作品から貰っている。現地の空気の中で読んだなら、違った感想が生まれるだろうか?