“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『コーネルの箱』

コーネルの箱』 チャールズ・シミック柴田元幸 訳 文藝春秋

コーネルの箱

 ジョセフ・コーネルについて知ったのは、いつだったろうか?

 他のアーティストの作品目的で見に行った美術展に、コーネルのコラージュボックスのいくつかが出品されていて、むしろ、コーネルの箱の方が印象に残ってしまったのだ。

 シュールレアリストの1人として捉えられることが多いようなのだが、必ずしもシュールレアリスムに沿ってはいないように思う。何よりコーネル自身が、シュールレアリストであるとは思っていなかった。シュールレアリスムは黒魔術で、自らの芸術は白魔術だと言っていたらしい。

 

 お気に入りを箱に詰め込む感じ。

 それは子どもの頃に夢中になった折り紙やビーズ細工に似ている気がする。カラフルで手の中に収まってしまう小さい宝物。それらは自分だけの秘密の世界を構成するのに重宝した。

 

 コーネルに影響を受けた作家は少なくない。

 この本は、コーネルの箱作品と、詩人チャールズ・シミックがその作品にインスパイアされて綴った文を纏めたものである。

 一般的な美術作品の図録や写真集とは違うが、この本自体がちょっとした秘密の箱のような小作品のようだ。