“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『万国お菓子物語』

今週のお題「手づくり」

 なぜ「手づくり」? と思ったら、どうもバレンタインデーが近いからという理由のようだ。板チョコを溶かしてハート型に流し入れ、冷やして固めたものを、世に「手づくり」チョコというらしい。

 こんなことを書くと怒られそうだが、板チョコのままで良くないか? とずっと思っていた。

 なぜなら、どう考えても可食分が減ってしまうからだ。だいたい板チョコの段階で、慎重に銀紙をはずそうとしてもチョコの端が銀紙側に残ってうまく取れなかったりする。溶かして型に入れるという作業中に調理器具に残ってロスしてしまうチョコがもったいない!

 テーマ全否定になりそうだが、やっぱり「手づくり」とくればお菓子だろう。

『万国お菓子物語 世界をめぐる101話』 吉田菊次郎 著 講談社学術文庫

万国お菓子物語 世界をめぐる101話 (講談社学術文庫)

 この本は『岩手日報』に掲載された記事を纏め1998年に刊行された本に加筆・修正して文庫化したもの。

 様々なお菓子の説明に写真またはイラストが付けられている。文庫本であるため、写真は巻頭に一部がカラーで載せられている以外はモノクロ写真なのだが、きっと実物はカラフルなのだろう。こういう本は目で見て楽しい。

 南蛮菓子の項では文献に名前が残っているものの、どんなお菓子であったか歴史に埋もれてしまったものがいくつか取り上げられていた。その1つが「ヒリョウズ」。ヒリョウズと言われたらガンモドキの別名だと思ってしまうが、かつてはお菓子の名だったらしい。ポルトガルにフィロオシュというお菓子があって名が似ていることから何らかの関係が窺われるが詳細は不明。『くーねるまるた』という漫画にも、そんなエピソードがあったような記憶がある。

 ヨーロッパを中心とした各国のお菓子、和菓子も紹介されている。ちなみにチョコレートは、スイスのお菓子に入れられていた。著者はスイスのチョコレートをかなり高く評価しているようだ。が、自分は、正直、他国のチョコレートよりも日本のチョコレートの方がおいしいように思う。結局は、明治の板チョコが最高なのだ。