“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『愉快な英国旅行術』

『愉快な英国旅行術』 出口保夫 著 ランダムハウス講談社文庫

愉快な英国旅行術 (ランダムハウス講談社文庫)

 この本は1998年に刊行された本と1999年に刊行された本に収録された文を編集し直し文庫化したもののようで、20年以上前に書かれた文だったりする。

 イギリス大好きの代表格である出口先生。

 イギリス料理に関しても、相当に運が良くてハズレを引いたことがないのか、なかったことにしてしまっているのか、否定的なことはほとんど書かれていない。

 イギリスの大衆料理はフィッシュ・アンド・チップスだが、正直いってこれはさほど珍重すべきものだとは思わない。よい店では、この白身の魚のフライは、よい油でからっとあがっているが、下品な店ではギトギトのフライを新聞紙にくるんで手渡したりする。

 見世物市とか競馬場などでのランチならともかく、ふつう市内の店でこの種のフライド・フィッシュをわざわざ食べようとは思わない。

 

 美味しくないものを上手く避ける術を知っているということでは、あるのだろう。

 一方で、アフタヌーン・ティやモーニング・ティなど、おそらく紅茶好きであろうことが窺われる内容が幾度も出てくる。

 全体に、庭園めぐりや、地方のホテルの紹介といった、何度も英国旅行をしている上級者向けの内容。時間と費用にかなりの余裕がないと、この通りの旅行は難しいはず。

 最後に、ダイアナ妃が亡くなられた直後に書かれたと思われる文。出口先生は、来日の際に直接お会いになったとのことで、いろいろと思うところがあったと推測される。