『ザ・万歩計』
『ザ・万歩計』 万城目学 著 文春文庫
この本は、門井慶喜氏との共著『ぼくらの近代建築デラックス!』が面白かったので、買ったのだと思う。変わったタイトルの小説を書いていることは知っているのだが、読んだことはない。
エッセイ集である。
ちなみに、「万歩計」というのは、登録商標なのだそうだ。書名に使用することと文庫化について、山佐時計計器株式会社の承諾を得ている旨が記されていて、この事実を知った。
幼少期の想い出のようなものから、学生時代、さらには社会人になって経験したこと、作家になってからのことに関する話が順不同に並んでいるのだが、総じて、家族や友人など人に恵まれている様子が窺える。
耳鼻科医だったという祖父の話、中学時代の「技術」の授業の話、実家で飼われていた猫の話が印象に残った。
あまり楽しい話ではないが、Gの話もあった。
これまで、名古屋市営地下鉄で御器所駅を過ぎる際、Gみたいな地名だとは思っていたのだが、なんのことはない、Gは、平安時代に、皿まで喰らおうとする浅ましい存在として「御器齧り(ごきかぶり)」と名付けられたらしい。
変な知識を得てしまった。