『舌の記憶』
今週のお題「あまい」
甘いもの食べて、もりもりブログ書こう💪、だそうだ。
“積読”で、お菓子の本は前に書いてしまったのだよなあ。タイミングが悪い。
ということで、甘いものばかりではないが、食についてのエッセイを選んでみた。
『舌の記憶』 筒井ともみ 著 新潮文庫
著者の筒井氏は脚本家が本業で、アニメから実写ドラマ、映画の脚本を手掛けている。
たぶん代表作となっているのが、映画『失楽園』なのだろう。この本の巻末に、いくつかのレシピが載せられているのだが、そのトップが、例の、鴨とクレソンのシンプル鍋のレシピだったりする。
この本自体は、脚本家となってからというよりも、昭和30年代の子供時代の頃の話がほとんどである。
Wikipediaによると、NHKプロデューサーの和田勉から、『向田邦子はきちんとした家族を書くと面白いが、あなた(筒井)は壊れた家族を書くと面白い』と言われたらしい。普通の家庭ではなかったのは確かなようだ。
芸能人が家にいる、というのは、芸能人ではない、それも子供にとってはあまり居心地がよい環境ではなかったのだろう。あまり芸能人の名に詳しくないので、筒井氏の伯母もその夫も知らなかったし、他に何人かイニシャルで思わせぶりに書かれた芸能関係者らしい登場人物もさっぱり分からなかったが、こんな人物たちと同じ屋根の下に暮らしていたら、かなり神経を使っただろうなあと、感じた。
食に関してのエッセイなのだから当たり前ではあるのだが、食事にかなりのこだわりがあるようで、子供の頃の食に関する想い出も非常に詳しくこまやかに書かれている。
せっかくだから、甘いものについて書かれたものを挙げてみると、ジャムサンドビスケット、ドーナッツ、ショートケーキ、苺、桜餅、椿餅、草団子、白玉、氷菓子、無花果、西瓜、ジャムパン、エクレア、綿アメ、シュークリーム、葡萄、おはぎ、遠足のお菓子、メロンパン、擦りリンゴジュース、焼き芋、金平糖といった感じである。
個人的には、苺をつぶして食べる話が印象的だった。そうなのだ。コンデンスミルクは、苺の味を台無しにしてしまうから、自分も苦手。牛乳がいいのだ。