“積読”供養

溜まってしまった本を整理するため、“積読”に目を通すことにした。その記録。

『ムーミンのふたつの顔』

『ムーミンのふたつの顔』 冨原眞弓 著 ちくま文庫 本作は、筑摩書房の『ムーミン・コミックス』の翻訳を担当した冨原氏によるトーベ・ヤンソンの評伝的作品。 実は、コミック版のムーミンは、まだ読んだことがない。 海外では、ムーミンというとコミックス…

『ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密』

『ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密』 ポール・アダム 著 創元推理文庫 『ヴァイオリン職人の探求と推理』に続くシリーズ2作目。 前作から1年以上たったある日、ヴァイオリン職人兼修復師のジャンニことジョヴァンニ・カスティリョーネの家と工房のある敷…

『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』

『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 川上和人 著 新潮文庫 先週(2023年2月15日)、恐竜の喉の化石が特定されたというニュースが報道された。アメリカ自然史博物館が2005年にモンゴルのゴビ砂漠で発見した約8000万年前(白亜紀)の「ピナコサウルス」という草…

『世界の装飾タイル』

『世界の装飾タイル 古代オリエントから近代まで、建築装飾を彩る文様の世界』 世界のタイル博物館 編 青幻舎 世界のタイル博物館というのは、愛知県常滑市にあるINAXライブミュージアムの敷地内にある施設らしい。Wikipediaによると、1991年(平成3年)にタ…

『深海生物学への招待』

今週のお題は、“海を超えて旅に出る✈”ということで海外旅行ネタなのだが、海を超えるという表現であれば深海ネタもありなのではないだろうか? 『深海生物学への招待』 長沼毅 著 幻冬舎文庫 著者は、1961年、人類初の宇宙飛行の日(たぶん『地球は青かった…

『ミラノの太陽、シチリアの月』

今週のお題「行きたい国・行った国」 今週のお題が発表された。遅ればせながら、日本でも新型コロナウイルスとの共存というか向き合い方が変わってきて、そうなると、海外旅行も現実的な話として考えられるようになってくるのだろう。 極端な円安がツライと…

『京都、オトナの修学旅行』

『京都、オトナの修学旅行』 赤瀬川原平 山下裕二 著 ちくま文庫 自分は、なぜか中学、高校どちらの修学旅行も関西だった。 中学の時は普通に奈良・京都。 高校の時はグループ行動で門限時間までに宿泊場所へ辿り着ければよいというアバウトなルールではあっ…

『フェルメール ー謎めいた生涯と全作品』

『フェルメール ー謎めいた生涯と全作品』 小林頼子 著 角川文庫 2023年2月10日から、オランダ・アムステルダム国立美術館で大規模なフェルメール展が開催されている。現存する作品は35点あまり(諸説あり。少ない説だと32点、多い説では37点)と考えられて…

『須賀敦子の旅路』

『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』 大竹昭子 著 文春文庫 たまたま手に取った本が読みやすかった。スッキリとした文でありながら印象的で惹き込まれてしまう。須賀敦子はそんな文章を書く作家だ。 しかし、自分が須賀敦子を知っ…

『万国お菓子物語』

今週のお題「手づくり」 なぜ「手づくり」? と思ったら、どうもバレンタインデーが近いからという理由のようだ。板チョコを溶かしてハート型に流し入れ、冷やして固めたものを、世に「手づくり」チョコというらしい。 こんなことを書くと怒られそうだが、板…

『愉快な英国旅行術』

『愉快な英国旅行術』 出口保夫 著 ランダムハウス講談社文庫 この本は1998年に刊行された本と1999年に刊行された本に収録された文を編集し直し文庫化したもののようで、20年以上前に書かれた文だったりする。 イギリス大好きの代表格である出口先生。 イギ…

『パリの秘密』

『パリの秘密』 鹿島茂 著 中公文庫 フランスの首都パリ。いまだに使われている言葉なのかよく分からないが、花の都パリ。そんなパリの有名な観光スポットから知る人ぞ知る的な穴場までを、フランス文学研究者の鹿島氏が綴ったエッセイ。 エッフェル塔が万博…

『あのころのデパート』

『あのころのデパート』 長野まゆみ 著 新潮文庫 先月1月31日で渋谷の東急百貨店本店が閉店した。55年の歴史だそうだ。跡地には36階建ての高層ビルが建つ予定らしいが、百貨店を再開するかどうかは未定という発表がされた。 2022年末には、西武百貨店池袋本…

『コーネルの箱』

『コーネルの箱』 チャールズ・シミック 著 柴田元幸 訳 文藝春秋社 ジョセフ・コーネルについて知ったのは、いつだったろうか? 他のアーティストの作品目的で見に行った美術展に、コーネルのコラージュボックスのいくつかが出品されていて、むしろ、コーネ…

『ターナー 色と光の錬金術』

『ターナー 色と光の錬金術』 オリヴィエ・メスレー 著 藤田治彦 監修 創元社 「知の再発見」双書シリーズの第128冊目。 この「知の再発見」双書、どうも日本語版は2017年の第166冊目を最後に新刊は出ていないようだ。元ネタは、フランス・ガリマール社の「…

『心理療法個人授業』

今週のお題「かける」 本棚に入りきらないほどの“積読”をどうにかしなければならない。 というわけで、今年は“積読を”優先的に読み整理しようと決意した。ついでに記録も付けてみようということで、1月の途中から、はてなブログを始めてみたのだが、毎週お題…

『ヴァイオリン職人の探求と推理』

『ヴァイオリン職人の探求と推理』 ポール・アダム 著 創元推理文庫 技術の進歩とともに新しいもの、より高度な機能を持ったものが作られ続けている。となれば、古いものは老朽化という避けようもない劣化を経て、価値が下がってしまうのが通常のように思う。…

『まあまあの日々』

『まあまあの日々』 群ようこ 著 角川文庫 『本の雑誌』の目黒考二氏が1月19日に肺癌で亡くなった。目黒氏はジャンル別にペンネームを使い分けていたのだが、その1つが「群一郎」であった。で、本の雑誌社で事務職をしていたのが群ようこ。ペンネームの「群…

『ほんとはかわいくないフィンランド』

『ほんとはかわいくないフィンランド』 芹澤桂 著 幻冬舎文庫 『やっぱりかわいくないフィンランド』 芹澤桂 著 幻冬舎文庫 フィンランドが北欧の国であることは知っていた。 北欧デザインで名前が出てくるイッタラ、アラビア。家具デザインや建築関連でアー…

『世界を、こんなふうに見てごらん』

『世界を、こんなふうに見てごらん』 日高敏隆 著 集英社文庫 動物行動学の研究者である日高先生。2009年11月に亡くなられているので、一連の新型コロナ感染拡大はもちろん、2011年の状況も見ずに逝ってしまわれたのであった。 今福道夫先生の解説によると、…

『ホペイロの憂鬱』

『ホペイロの憂鬱 JFL篇』 井上尚登 著 創元推理文庫 『幸せの萌黄色フラッグ ホペイロ坂上の事件簿 J2篇』 井上尚登 著 創元推理文庫 自分は、普段、スポーツ観戦どころか結果すら見る習慣がない。運動する習慣もなく、健康のためになるべく歩くようにして…

『緑の英国・アイルランドのクルマ旅』

『緑の英国・アイルランドのクルマ旅 フランスからドーバー海峡を渡って再びフランスへ、小さなプジョーで1000㎞』 笹目二朗 著 枻文庫 枻文庫は、【エイブンコ】と読むらしい。枻は、訓読みでは【かい】。舟を漕ぐ道具のことだ。と同時に、弓の歪みを直す道…

『須賀敦子の方へ』

『須賀敦子の方へ』 松山巖 著 新潮文庫 自分が須賀敦子という作家を知ったのは、2000年を越えてからだったと思う。1998年に亡くなっているので、ある意味で、間に合わなかった、もしくはすれ違いになった作家である。 本作は、評論家・小説家である松山氏に…

『午後からはワニ日和』

『午後からはワニ日和』 似鳥鶏 著 文春文庫 自分は、アレルギー体質もあって、ペットを飼うことができないのであるが、動物には興味がある方である。そんなわけで、本のタイトルに動物が入っていたりすると、ついつい手を伸ばしてしまう傾向がある。そして“…

『懐石料理とお茶の話(上) 八代目八百善主人と語る』

『懐石料理とお茶の話(上) 八代目八百善主人と語る』 江守奈比古 著 中公文庫 上巻の方だけがあった。この本が“積読”になっていたのは、おそらく、下巻が見つかってから通して読むつもりで、忘れてしまったからだろう。 享保年間に創業したとされる料理屋…

『アップルの人』

『アップルの人』 宮沢章夫 著 新潮文庫 この本こそ、いったい、なぜ購入したのか? まったく思い出せない。 ちなみに、アップルとは、Macの会社のアップルである。そして、自分の使っているPCのOSはWindowsである。 3ページばかり読んで、諦めた。 これ、Ma…

『「レ・ミゼラブル」百六景』

『「レ・ミゼラブル」百六景』 鹿島茂 著 文春文庫 タイトルは知っていて、部分的にはあらすじも知っているが、きちんと読んだことのない文学作品は多々ある。『レ・ミゼラブル』も、そういった作品の1つだ。 『ああ無常』の邦題で、かなり端折られた“子供向…

『僕は、そして僕たちはどう生きるか』

『僕は、そして僕たちはどう生きるか』 梨木香歩 著 岩波現代文庫 梨木氏の綴る日本語が好きだ。凛として、美しい日本語だと思う。 そのため、書店で未読の梨木氏の書籍を見つけると、購入し、そして、大抵は、間を置かずに読む。それなのに、この本は“積読”…

『汽車旅放浪記』

『汽車旅放浪記』 関川夏央 著 中公文庫 関川氏は、確か、夏目漱石に関する本を出されていたはずで、その関係で買った本だと思う。まあ、はっきりは覚えていないのだが。 関川氏は、所謂“鉄道ヲタク”のようだ。 実際のところ、“鉄道ヲタク”がどういった集団…

『場所はいつも旅先だった』

『場所はいつも旅先だった』 松浦弥太郎 著 集英社文庫 何で、これを買ったのか? まったく覚えていない。 松浦氏のことを知っていたわけではなく、カバーのビジュアルに惹かれたとも思えない。 松浦氏は、元『暮らしの手帖』編集長だったらしいので、その関…